前回のコラムで、「接骨院の自費メニュー導入方法」について解説しました。
しかし、どんなに良い自費メニューを導入しても、料金設定で失敗すると売上を上げることが難しくなります。場合によっては患者様が離反したり、院の運営が厳しくなったりするリスクがあります。
そこで、自費メニューの導入で失敗しないために、今回のコラムでは「自費メニューの料金設定」について解説します。
自費メニューの料金設定を始める前に、準備しておくべきことがあります。きちんと準備をして最適な料金設定を目指しましょう。
【骨盤調整1回:5,000円】例えば、こういった自費メニューを「高い」と感じる先生は、少なくありません。保険適用の数百円といったメニューで長年やってきている先生にとっては、1回5,000円という料金設定がとても高く感じられて、「患者様が不満を持つ」と思ってしまうようです。
自費メニューの料金設定をする前に、まずはこの固定概念を捨てる必要があります。
そうしなければ、採算が取れないような安い単価にしてしまったり、患者様に自信をもってメニューをおすすめできずに終わってしまったりする可能性があります。
確かに、これまで続けてきたメニューが突然値上がりすれば、患者様は不満に思われるかもしれません。しかし、これまでとは別の新しいメニューならば、5,000円という単価でも不満は感じにくくなります。
そもそも、前回のコラム「接骨院の自費メニュー導入方法」でも解説しましたが、売上とは今現在の患者様満足と期待を表わす指数です。
患者様にもっと満足・期待してもらうことの対価が売上であることを理解して、自費メニューの料金に対する固定観念を捨ててください。
対象となる患者様の具体的なイメージを事前に作っておくと、自費メニューの料金設定が適切な価格なのかどうかの判断基準に使えます。
仮説でいいので、症状、年齢、性別、職業、家族構成など、導入する自費メニューの対象となる患者様の具体的なイメージを決めてください。料金設定はそのイメージの患者様に見合った価格なのかを考えましょう。
同一商圏内の接骨院・鍼灸院がどのような自費メニューを導入していて、料金はいくらなのか、どれくらい患者様が来ているのか、調査しておきましょう。
必ずしも競合より安くしなければならないというわけではありませんが、自院と比較してどうなのかを把握したうえで、自費メニューの内容や料金を決める必要があります。
ひとり経営のような小規模の院が、大手の料金設定をマネするのは危険です。
柔整鍼灸業界に限った話ではありませんが、大手はその潤沢な資本で「多数の店舗」「多数の人員」「多額の広告費」を使って、安く大量に商品を販売して利益を出すことができます。
例えば、小規模の院が大手と同じ商品を同じ料金設定にすると、安くても収益化できるほどの量を販売できない、売れば売るほど苦しくなる商品が出来上がってしまいます。
大手よりも料金を「高くするor安くする」という話ではなく、大手と価格競争にならないために、小規模の院だからこそできる独自性を大切にする必要があります。
自費メニューの料金設定は、安ければいいわけでも高ければいいわけでもありません。
「立地や客層に合っているか?」「導入にかかった費用は回収できるか?」「競合調査をしたうえで料金設定できているか?」など、あらゆる角度から検討を重ねて決める必要があります。
自費メニューは保険が使えないから高い、だからといって安くすればいい、というわけではありません。
本当に必要だと患者様に感じてもらうことができれば、保険適用のメニューより高くても受け入れてもらえます。
導入する自費メニューの対象となるのはどのような患者様なのか、その患者様が必要とする効果は何なのかをイメージしましょう。ここで、前述した「対象となる患者様の具体的なイメージ」が活用できます。
同時に、収益化できる料金設定かどうかも大切です。機材を購入したり、有料のセミナーに参加したり、自費メニューを導入するのにかかった費用。他にも施術するスタッフの人件費や広告宣伝費など、様々なコストを乗せたうえで収益化しなければなりません。
他にも大切なことは、施術を受ける前の患者様が料金から感じる「期待値」を施術後に超えられるかどうかです。これができれば、患者様が自費メニューのリピーターになるだけではなく、口コミで新患の獲得も期待できます。
ご存知のこととは思いますが、接骨院で行われる施術は混合診療の定義には当てはまりません。しかし、だからといって自費メニューを保険適用のメニューと併用して一律料金で請求してはいけません。
保険適用のメニューでは、施術内容や部位数、一部負担割合などが患者様によって変わります。つまり、患者様が窓口で支払う料金が一律になることは無いはずです。
自費メニューと併用して一律料金で請求してしまうと、保険適用のメニューがいくらだったのかがわからなくなります。こうなると、保険者や厚生局から「保険適用のメニューも一律なのではないか」と、不正請求を疑われる可能性も出てきます。
自費メニューは保険適用のメニューと区別された料金表を作り、患者様にとって施術ごとの料金が明確になるようにすることをおすすめします。
役務提供とは時間や労力をお金に換算する料金設定です。例えば「20分2,000円」と定めてしまうと、必ず施術を20分間やらなければお金はいただけません。
ベテランで技術も高い柔道整復師“A”も新人で技術も経験も浅い柔道整復師“B”も「20分2,000円の施術」という役務提供では、どちらも20分間で稼げるのは2,000円ということになります。
しかし、両者の人件費が同じなわけはないので、Aが20分間行うサービスは場合によっては赤字になってしまうかもしれません。
さらに、価格競争が起きやすいという危険性もあります。20分2,000円の施術と900円の施術では、基本的に安い方に患者様は集まります。
院によって状況は異なるので、一概に「役務提供はよくない」というわけではありません。しかし、院の売上が「役務提供」主体になると、後から運営が苦しくなってくる場合があります。
そうなった場合は、「効果提供」のようなビジネスモデルに切り替えることも選択肢の1つです。
時間や労力ではなく、その効果にお金を支払うのが効果提供です。患者様に提供できる効果のレベルは、施術者のスキルで変わります。この効果提供のほうが院の生産性が上がり、患者様の満足度も高くなるという考え方もあります。
効果提供の自費メニューを作るのであれば、「何回やれば効果が出るのか」という目安を定めておかなければなりません。まずは、自身の施術が大体何回で完了するのか、患者様に確認して把握しておきましょう。
そのうえで、「このメニューは30人の方に施術して28人の方が8回目で効果を実感しました。」「なので、うちの回数券は8回でやっています」と患者様に根拠を持って説明できるようになっておいてください。
このように、効果提供のメニューは「なぜそれが必要なのか」といったことを患者様が理解した状態で行われるので、患者様の施術へのモチベーションも高まり、離反率も低くなる傾向にあります。
役務提供と効果提供については、無料のダウンロード資料「接骨院の成功する開業準備[運営編]」で詳しく解説しておりますので、ぜひご確認ください。
前述した「保険と自費で一律料金になっていないか」の項目にも記載しましたが、自費メニューには料金表が必要です。ここで、どんなことに注意して作ればよいのかを解説します。
自費メニューには保険適用のメニューだけでは得られない効果があります。しかし、それが患者様に伝わらなければ「保険適用のメニューより高い」だけのものになってしまいます。
保険適用のメニューとの効果の違いを比較して、料金が高くなることを説明しておくことで、「多少高くても受けてみたい」と患者様に思っていただけます。
自費メニューと保険適用のメニューを混同しがちな患者様もいらっしゃいます。それぞれ別の料金表を作るか、1枚にまとめる場合はメニュー欄を分けるなどすると、違いがわかりやすくなります。
ポイントは、患者様に自費メニューと保険適用のメニューの違いが明確にわかるように、料金を分けて伝えることです。
せっかく投資をして自費メニューを導入しても、料金設定で失敗すると患者様に受け入れてもらえなくなってしまいます。
自費メニューの料金設定は、「競合よりも安くして患者様に来てもらう」「収益があがるようにできるだけ高くする」といった単純な決め方はできません。患者様が支払える範囲内であることと同時に、きちんと収益化できるかどうかを考慮して行いましょう。
そのうえで、患者様が施術を受けた後に「料金に見合っていた」と思えるような内容であれば、自費メニューの導入は成功です。
今回のコラムを「接骨院の自費メニュー導入方法」と合わせて読んでいただくことで、自費メニューの導入を成功させる一連の流れがわかると思います。
それでも、「少し不安がある」という先生には自費メニューの導入サポートの無料相談があります。
以下のリンク先から、お気軽にお問い合わせください。
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※2022年3月時点
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